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IMG_6712.JPG沖縄にはいろいろな行事・文化・風習があります。あなたもこれで沖縄通!正月ボケがまだまだ抜けていない人はいませんか?これで寒い冬をこの1年を乗り切ろう!今回は鬼餅=ムーチーの特集をします
名称の由来

ムーチーとは、沖縄方言で「餅」のことを言い、月桃の葉で巻くことから、「カーサ(葉)ムーチー」と呼ばれています。また、ムーチーは「鬼餅」とも言います、これは昔話で鬼退治にムーチーが使われたことからと「鬼餅」と呼ばれることとなったと言われています。

「鬼餅」の由来は沖縄本島の民話。

illust1091.png むかしむかし、首里金城に妹と兄がいました。ある日、兄はひょんなことから大里村に移り住み、その兄が夜な夜な村を襲い、にわとりや山羊、牛を盗み、時には人間までも食べる「大里鬼」になってしまいました。
洞窟に住みついているという噂が広まり、妹は確かめようと思い、大里の洞窟に行きました。「兄さん、妹です。」と、妹は洞窟の前で大きな声で叫びました。どうやら、兄である鬼は留守のようです。
妹は洞窟の中に入っていくとなんとそこには、思わず鼻をつく悪臭がプンプン。
牛や山羊の骨が散乱して、噂通り兄が鬼となっていることをしってしまったのです。
妹は怖くなって帰ろうと外へ出ました。すると、鬼となった兄が帰ってきたのです。久しぶりに見る兄は筋肉隆々で、口は裂け牙がむき出し。目は爛々と輝き、赤黒い毛に覆われた鬼の姿になっていました。


IMG_7051.JPG妹は逃げようとしましたが、「妹か、何故逃げるのだ。一緒に肉でも食べよう」と鬼となった兄に襟元を捕まえられたのです。
そして洞窟の中の方へ引っ張られました。
妹はとっさに、「兄さん、それではちょっと待って下さい。外で用をたしてきますから」と言いました。
鬼は逃げられるのを警戒して「ここでやれ」と言いました。
しかし、妹はいくら兄妹でも兄の前ではできないというと納得し、鬼はその代わりに妹の手首に縄紐(なわひも)を結びつけました。
妹はすぐ外に出て、用をたすふりをして縄紐をほどき、その縄紐を木に縛り、一生懸命逃げました。洞窟の中にいた鬼は、「遅いな。何しているのかなあ。」と外にでました。縄紐が解き、妹が逃げていることがわかると、「おい、こらー、待て!」と叫びながら妹の後を追いかけたのです。
もう妹はすでに逃げていませんでした。
IMG_6739.JPG数日して鬼は、今日は恨みをはらし食べてやろうと、首里金城の妹の家へやってきました。
一方、妹の方は、鬼を退治しようと考えて、自分の餅はあたりまえの餅をつくり、鬼の兄に食べさせる餅は、中に鉄を入れてどんな鬼でも食べられないように作った鉄餅を準備して待っていました。
「兄さんこの間はすみません。今日はお詫びにおいしい餅をたくさん召し上がって下さい。いっしょに外の景色を見ながら食べましょう。」と、妹は言葉巧みに誘い出し、崖の近くまでおびき寄せました。
妹は、「さあ、どうぞ召し上がって下さい。」と鉄餅を鬼になった兄に差し出しました。


IMG_6708.JPGそして、妹はとてもおいしそうに自分の餅を食べてみせました。
ところが、鉄餅を口に入れた鬼の兄はそれが噛み切れないで困っていました。
鬼の兄でも食べ切れない餅を妹がおいしそうに食べているのを見て、鬼は妹の口の頑丈さにびっくりしていました。
兄が妹をよく見ると、兄に向かって足をひろげて座っていました。
妹は着物の下には何もつけてなくまる見えでした。
鬼は妹のホー(陰部)を見つけてしまったのです。
何も知らない鬼は「妹よ、おまえはなんで口が二つもあるのか。」と聞きました。
すると妹は、「上の口は餅を喰う口、下の口は鬼を喰う口。」といって着物をまくりあげたのです。
びっくりした鬼はふいをつかれた思いで飛び上がるや、足を踏み外して崖下に転落してしまい、死んでしまいましたとさ。おしまい。

鬼餅伝説の拝所

IMG_6715.JPG首里金城町の御嶽(ウタキ:拝所)に死んだ鬼の角を葬っており、そこはホーハイウタキと呼ばれて鬼餅伝説の拝所と知られているとのことです。この鬼を退治したのが旧暦の12月8日なので、沖縄ではその日を厄払いの日とし、かまどや仏壇などに供え、健康・長寿を祈願して鬼餅(ウニムーチー)を作って食べるようになったということです。また、その年子供の生まれた家庭では、生まれた子供の健康を願って普通の餅より大きい「力餅(チカラムーチー)」を作って食べる風習もあります。
幼い頃は歳の数だけ紐につるし飾って、その数だけムーチーを食べなさいと言われたのもですが、さすがに無理でした。


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作り方

IMG_6759.JPGムーチーはサンニン(月桃)やクバ(蒲葵・ビロウ)の葉に包んで蒸し、味は黒糖、トゥナチン(とうきび)や紅芋などがあります。(観光用でもっと様々な味が作られています。)
ポピュラーなのは黒糖のムーチーです。
餅粉と黒砂糖を混ぜ、水を加えてよく捏ねる。均質に耳たぶ程度の堅さになったら30分程度寝かせ、小分けにして月桃の葉に巻き、せいろで蒸す。

作ってみました

IMG_6871.JPG今回、編集長の実家のムーチーを思い出しながら数十年ぶりに作ってみました。耳たぶ程度の堅さになったら30分程度寝かせますが、実家のムーチーは1日寝かせます。
完成すると見事な出来に「これでお嫁にいける!!」と自信を付けた女性陣なのでした。

ムーチーは鬼餅と書くが、沖縄以外ではもち米をついたものを餅と称し、餅粉を練ったものは「団子」と呼ばれます。また、甘みを添加することで菓子として食されるため、ムーチーは餅より団子に近いかもしれません。


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健康・長寿を祈願してムーチーを作って食べてみよう!

ムーチーを食べる旧暦の12月8日(新暦の1月下旬から2月上旬)は沖縄では最も寒い時期であり、この時期を沖縄方言でムーチービーサー(鬼餅寒)と呼んでいます。
沖縄のおじいちゃんおばあちゃんは暦を見なくても身体が覚えている人もいて、ムーチービーサーが近くなると「もうムーチービーサーがくるから風邪引かないように」と子ども達にしつけをします。本当に不思議なもので旧暦の12月8日は必ずと言っていいほど寒くなります。そんなこともあり、編集長の私もおじいちゃんおばあちゃんの言うことだけは聞くようになりました。(笑)そしてムーチービーサーには必ずムーチーを食べて厄払いをします。
皆さんも健康・長寿を祈願してムーチーを作って食べてみよう!!